『パターソン』(2016)
ジム・ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』を観たのは7、8年前なのに折を見ていつまでも思い出し、心に残り続けるレベルには好きだし、
なんでか好きなアダム・ドライバーが主演とのことで『パターソン』、ずっと観たかった。
20年以上構想を練っていた作品だそうな。
アダム・ドライバーは初見がスター・ウォーズだったのかなんだったのか…忘れてしまったけど多分ベネディクト・カンバーバッチ的なクセの強さのある顔をしているから、無視できないんだと思う。
さて映画、パターソンは物静かな良いやつなのに、そのわり妻がなんともぼんやりした無責任な浪費家なので、途中からずっと「早く別れればいいのに…」と勝手に不憫に思っていた。
まあパターソンにとって彼女がミューズなようなので、あれが彼の幸せなのだろうけども。確かに寝姿はとても美しかった。
あの完成度のカップケーキでめちゃ褒めしてくれるのは最高だよな〜。毎晩バーで晩酌してくるのも、許してしまうというものだわ。
あまりに、それこそ川の流れのごとくゆっくりたゆたう日々が淡々と描かれていたので、起伏のなさに何度か退屈した。
でも思い返してみれば、あの作品が映像詩みたいなものなんだよな。
日常こそ美しく静かであり、親切心に満ち溢れたもの(であるべき)っていうのを、優しき凡人パターソンを通して描かれている。
裏路地でひとりで母と姉を待つ詩人の女の子を、一度引き返してまで見守るパターソン、良心の塊だ。
しかも、あのときの雰囲気が本編の中でパターソンが一番リラックスして見えた。嬉しそうで。
見終わってから、パターソンのあの滝があんまりにきれいだったから調べた。
グレートフォールズと言うそうです。
観た人は全員、ニュージャージー州パサイク郡パターソン市について調べてるんじゃないの?
「観たいな」から、最近あっという間に何年も経っていて驚くばかり。
MCUとか、何年か目を離したらあっという間にすごい本数出てるからびっくりするよね。