いもぐい

映画や読んだ本、マンガの感想、生活のログ。

2020.4.10

深夜

金カムを読んでいて、戦争のテーマが出るたび父方の祖父のことを思っている。
おじいちゃん子でもなく、孝行もできたか知れない。中学の時に亡くなってしまった。ガンだった。

祖父は筆まめな人で、書斎でよく新聞を切り抜いたり、日がな一日よくこもって作業をしていた。
亡くなってから書斎に入って、膨大なスクラップブックへの丁寧な作業と同じように、戦争のことも記録していたことが分かった。日記も、戦地から送っていたという。
私は中学生で、父も母も、親(義家族)を看取るというのははじめての経験だった。今では3人を看取ったが、なかでも祖父の遺品は多かった。
はじめてで、かつ物も多く、とにかく家族みんなが焦っていた覚えがある。何がいるとかいらないとか、なにを遺すべきかとか、ほとんど作業になってしまっていてとになくものを減らすことを優先した。
私は特に戦争関係のものは恐ろしくて、ひとつも触らなかった。父も不精なので、あまりしなかったのだろう。母が日記を少し読んだと言っていた。私に話してくれた限りでは、祖父は足の側面を撃たれたこと、敵兵の死体を、本当に死んでいるか確認するために振り回して山積みにしていたことを聞いた。母も、とてもではなかったけど読み切れなかったと言って、父に任せたと言っていたような気がする。祖父の戦争経験を、そのたった2つでさえ恐しくて、亡くなった祖父のことは考えないようにして過ごしてきた。

文学も映像も、戦争をテーマにしたものは恐ろしいから避けてきた。反戦主義なのだから、今更詳細を知らなくたっていいでしょうと言い訳をしてきた。
それがまさかマンガがきっかけなんてマヌケかもしれないけど、それが実際あったことでもフィクションでも人や動物が死ぬことやそういった表現を恐れ、避けてきた人間だったけれど、祖父のことを知らなければいけないと思い始めた。

マンガであんなにも恐ろしいのだ。それが現実だったら、どんな思いがしたか。どんな経験をしたか。私に祖父の血が流れている限り知らなければと、思い始めた。こんなことははじめて。

祖父の日記は捨てられたのか、誰か持っているのか、恐ろしくてまだ両親に聞けていない。捨てられてしまっていたなら、どうやって祖父の経験を知ればいいのか。日が明けたら、聞くつもり。